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気管支喘息(ぜんそく)

(1)気管支喘息(ぜんそく)とは

気管支ぜんそくは、以前では小児ぜんそくが有名で、ぜいぜいする喘鳴(ぜんめい)や呼吸困難、せき込みなどを主な症状とする病気でした。
はたから見るといかにも苦しそうで、大変そうな病気というイメージがありました。

ところが最近ではその症状が大きく変わってきており、せきばかりで呼吸困難や喘鳴が少ないぜんそくが増えています。
特に大人のぜんそくは増加しており、呼吸困難や喘鳴はまったくなく、せきだけ続く「せき喘息」も増えています。
症状は夜間や早朝に多く、日中には改善するので病院に受診した時にはただの風邪と診断される事も多いです。そのため症状からだけでは診断は難しく、肺機能検査をしないと分からない場合が多いです。
肺機能検査といっても健康診断で行う肺機能検査とは違って、息を胸いっぱいに吸って一気に吐き出し、1秒間にどれだけ吐けるか(これを1秒量と言います)を調べ、1秒量が肺活量の何%かを調べます。
それが70%以下ですと気管支が細いということになります。
その後、気管支拡張剤を吸入して、1秒量がどれだけ改善するかをみます。
気管支ぜんそくは、気道が慢性的に炎症(粘膜の荒れ)を起こす病気です。何らかの遺伝的素因(体質)が関係していることは分かっていますが、根本原因はよく分かっていません。発作を引き起こすものを「誘因」といいますが、よくある誘因は風邪,アレルゲン(ペット、カビ、ダニ、花粉など)やたばこの煙、排気ガスなどです。
よく風邪の後にぜんそくになったという人がいますが、これは間違いで、もともとぜんそく体質を持っている人が風邪をきっかけにぜんそくがあらわになったのです。

 

(2)気管支ぜんそくの治療

 

治療は吸入ステロイド薬を主体に使用してコントロールします。
重要なことは、発作が起きてから治療をするのではなく、普段から吸入ステロイド薬を中心とした治療を行い、気管支の炎症を改善して発作を起こさせないようにすることです。
ステロイドと聞くと、恐い薬という印象があるかもしれませんが、吸入ステロイド薬は副作用が少なく、ぜんそくのコントロールに効果的です。ひどい発作の場合は、点滴や内服でステロイド薬を使用しますが、こちらは長く使用すると副作用があるので好ましくありません。

現状ではぜんそくという病気は根治が難しいですが、吸入ステロイド薬を使うことで症状を完全にコントロールすることはできますし、スポーツも普通にできます。
吸入ステロイド薬を使っていなかった頃はぜんそくで亡くなる患者さんが年間1万人くらいいましたが、吸入ステロイド薬を使うことで最近では1500人くらいまでに減っており、その多くは吸入ステロイドを使っていなかった患者さんです。
ぜんそくの症状を放置しておくと気管支が細くなり、肺の機能が落ちて回復しづらくなります。こうなると症状が改善しづらくなり、日々の生活に支障がでてきます。日々のコントロールが大切です。