肺炎は文字通り肺が炎症を起こした状態を指します。
日本人の病気による死因の第1位はがんですが、肺炎が3位であり油断できない病気です。
一般的な肺炎は細菌やウイルスなどの病原体が、肺の奥にある小さな袋状の部分(肺胞)に感染して引き起こされる炎症です。
原因となる病原体や、感染にいたった環境によっていくつかの種類に分けられ、症状や治療法もその種類によって異なります。
好酸球性肺炎は、白血球の中の成分であり、アレルギーと関わりが深い好酸球によって引き起こされる特殊な肺炎です。タバコ、薬剤やある種のカビに対するアレルギー反応として発症したり、ぜんそく患者さんに併発したりすることがあります。
細菌による一般的な肺炎とほぼ同様で数日から1~2週間でせきや発熱、だるさなどが生じます。
ぜんそくも悪化し、ヒューヒュー、ゼーゼーした音が生じることもあります。好酸球性肺炎は細菌によるものではないため抗生物質(抗菌薬)は効きません。
せきや呼吸困難で病院を受診し、胸部X線検査や血液検査などで肺炎と診断され、抗生物質による治療でもよくならないため呼吸器の専門医に紹介されてくることがしばしばあります。
検査では、胸部X線写真で肺炎像が確認されますが、一般的な肺炎とほとんど区別がつきません。
胸部CTによる画像診断、血液検査や喀痰(かくたん)検査による好酸球の測定も行いますが、それでも確定診断にいたらない場合もあり、気管支鏡を用いて肺の中を洗浄して好酸球が増えているのを確認したり、肺の組織の一部を取る検査が必要になることがあります。このように、好酸球性肺炎は診断が難しい病気の一つです。
治療は、原因物質が特定できる場合は、それらを除去・回避することによって自然に軽快します。原因物質が不明な場合にはステロイド薬による治療を行います。
ただし、細菌性の肺炎に対しては、ステロイド薬はかえって病状が悪化する可能性があるので、肺炎の鑑別による治療薬の選択が非常に重要です。
ステロイドは一般的によく効きますが、薬の量を減らしていく過程で再発することもあり、数カ月間から数年間にわたるステロイド療法が必要となる場合もあります。